喜入基地に入港する大型タンカーは、原油桟橋に着桟し、荷役作業を行います。
荷役とは、陸上のタンクとタンカー間で原油を輸送することを指し、些細なミスが火災や漏油といった重大な事故につながる可能性があるため、安全かつ確実な作業が常に求められます。
当社はENEOS喜入基地株式会社から業務委託を受け、ターミナルオフィサーが常駐し、24時間体制で荷役の安全管理を実施しています。
タンカー入港に際し、当社の安全監督(Safety Superintendent)が、入港予定船が桟橋に安全に着桟できるか事前審査を実施します。審査を通過したタンカーには、最適な係留方法の策定や入港前の安全点検、荷役計画の精査を行い、万全な準備を整えます。
また、喜入港に対して初入港や長期未入港のタンカーについては、着桟前に安全監督またはターミナルオフィサーがムアリングマスター(当社のターミナルパイロット)とともに乗船し、多項目にわたる安全チェックを実施した上で着桟可否の最終判断を行います。
設備の不具合や整備状況も細かく確認し、事故の未然防止に努めています。
タンカーの着桟時には、ターミナルオフィサーがタンカー上のムアリングマスターや船長に必要な情報を提供し、安全かつ正確に船を桟橋へ誘導します。
原油輸送には、桟橋とタンカーを接続する可動式配管「ローディングアーム」を使用するため、全長200m以上もあるタンカーの前後位置を数十cm単位で精密に調整する必要があり、作業には細心の注意を払っています。
着桟後は、事前に策定した係船方法に沿って、綱取り作業の指揮・監督も行います。
タンカーの着桟完了後、乗組員や安全監督、代理店と打合せを行い、安全対策の相互確認、原油の受払い量や荷役終了予定の最終調整、書類の手交等を行います。
特に安全確認は原油の取り扱いにおける最重要事項であり、絶対に欠かすことができません。
荷役開始後も、ターミナルオフィサーが24時間体制で現場に立会い、安全状況やタンカー・陸上間の情報伝達、作業スケジュールを常にチェックし、円滑な荷役のため適切な指示や助言を行っています。
荷役を予定通り完了させるには、原油の種類ごとに異なる密度・粘性や設備状況を踏まえ、荷役レート(流量)を調整する高度な知識が求められます。
また、喜入基地には多くの外国籍タンカーも入港するため、ターミナルオフィサーは乗組員と英語で円滑にコミュニケーションを図り、安全な荷役作業を支えています。